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- 2018/3/29 7:17
- ワルクラ卑弥呼討伐6
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- 「…これは。」
俯きがちだった目線を上げ、アヤメは恐る恐る短刀を見る。
「薬研藤四郎。ナーガから借りてきた。」
「借りてきたって…。」
思わず言葉を失うアヤメに対し、男は我が物顔で続けた。
「その短刀はな、無実の主人の腹を斬らなかった逸話がある。それが本当なら、お前の腹は絶対に斬らないぜ。」
「そんな事…。」
男の言葉が信じられず、アヤメは勢いよく短刀を突き刺す。
しかし服が横一文字に小指サイズで斬れただけで、肝心の腹には傷一つついてなかった。
「なっ?言った通りだろ?」
「どうして…。」
声の主が得意げに言いながら外套をアヤメに羽織らせ、彼女は眉を下げて目線を上げる。
視線が合った政宗は深い溜め息をついた。
「あのな。今回は相手が悪かったんだよ。何せ卑弥呼だぜ?神の御子と言われてたヤツだぜ?勝てるワケないだろ。そんな相手に、お前は一京達を守った上、五体満足で無事だった。これ以上の大義はないぞ。」
「政宗様…。」
政宗の言葉にアヤメの瞳に涙が滲む。
政宗はアヤメから薬研を奪い取ると、小さく笑った。
「行くぞアヤメ。明日から村の復興だ。ちゃんとついてこい。」
「…御意!!」
政宗の一言にアヤメは笑顔で頷いた。
後日、政宗が短刀を返した際、ナーガにからかわれたり、卑弥呼がいた城の奥深くにH.Tとたぬちよの武器が見付かったりしたのだが、それはまた別の話である。
- 「…これは。」