十人十色☆さんとモバ友になろう!
日記・サークル・友達・楽しみいっぱい!
-
- 2018/3/20 9:56
- 地雷 2
-
- コメント(0)
- 閲覧(12)
-
-
- ヒヤリとした冷たい空気に、瞬太郎は小さく身震いする。
続いてパチリと音を鳴らして蛍光灯が光ると、辺りは白色に包まれていた。
「ここが医務室…。」
この世界での医務室に初めて入った瞬太郎は、視線だけグルリと回転させた。
部屋はざっと六畳ぐらいで、右壁に簡易ベッド、左壁には机と二つの椅子が置かれ、現代の診察室を連想させる。
「司書殿。」
森に呼ばれ、瞬太郎が我に変えると、既に彼は医者の顔をして椅子に座っていた。
さらに森の背後に正岡と夏目が立ち、逃がさないと言わんばかりの威圧感を放っている。
瞬太郎は溜め息をつくと、覚悟を決めて椅子に座った。
「…なるほど。つまり胸の痛みは、司書殿の喘息の名残なのだな。」
その後、洗いざらいすべて話した瞬太郎に、森は確認するように呟く。
瞬太郎は神妙な顔で頷いた。
「レントゲン写真にも乗らず、健康診断にも引っ掛からないのに、痛みだけはありますからね。自分なりに調べてみたんですよ。」
「…確かに喘息持ちで肺が痛む事はあるな。だが、逃げる事はないだろう。」
森の一言に瞬太郎は言葉を詰まらせる。
「いやだって、正岡先生と夏目先生にとって地雷ですし、別に言ったところで痛みが和らぐ事はないですし…。」
しどろもどろ言いながら森の背後に目線を向けると、眉間に皺を寄せた正岡と、顔面蒼白でありながら笑っている夏目と目があった。
思わず小さな悲鳴を上げると同時に、森の咳払いが聞こえる。
「幸い司書殿の場合、冷たい風と煙、動物類の毛にさえ気を付けていれば喘息にならないようだし、日常生活をするにも問題ないだろう。ただし、胸の痛みに関しては、我慢せずに俺に報告する事。」
「はい先生!!そこに、『風邪を引いてもすぐ喘息にならない』のも付け足してください!!」
ビッと軽く手を上げる瞬太郎に、森の無言の鉄槌が頭上に降りた。
- ヒヤリとした冷たい空気に、瞬太郎は小さく身震いする。