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- 2012/3/20 23:43
- ココロコネクト ヒトランダム/庵田定夏
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- アニメ化を知ってずっと気になっていたので、遅ればせながら読みました。生きていれば誰しもが避けては通れないあの時代、箱庭モラトリアムのちょっぴり不思議な青春ミステリーです。
この時期の若者は皆それなりに悩みを抱えて生きているのだけど、それを打ち明けて友人同士で解決してしまう、なんてテレビドラマのような展開は本来なかなか起こらないもの。しかし凡庸な日常から突如としてクオリアの錯綜する非日常へと放り込まれたことで、少年少女の脆い部分が否応なく曝け出されていって――というお話。
登場人物たちの苦しみが明るみになる過程はファンタジー寄りなんですが、それを解決する糸口や切っ掛けは、特別なことなんて何もないほんの少しの機転と勇気だけ。むしろそこに救いを見た気がしました。「心や存在の本質は見えもせず触れられもしない不確かなものだけど、それでも……!」という青臭くも清い精神が作品全体のプロパガンダとしてよく活きています。
難を言えば、エンジンが掛かるまでの序盤の文章が冗長で退屈なこと。それから、本来読み手に自然と得心させるべきであるはずの主人公像を、自己犠牲野郎という台詞だけで強引に印象づけて物語を進めようとする粗さでしょうか。とはいえ二十代前半でしかもこれがデビュー作のまだまだ若い作家さんなので、今後の成長に大いに期待したいと思います。
余談ですが、イラスト挿絵担当の白身魚はけいおんキャラデザ総作監で飛ぶ鳥落とす勢いな堀口悠紀子の別名義だそうで。ブヒヒ伊織たんカワユス(●´∀`●)
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そういえば本日三月二十日は作家・伊藤計劃の命日ですね。偲んで何か読み直そうと思います。
- アニメ化を知ってずっと気になっていたので、遅ればせながら読みました。生きていれば誰しもが避けては通れないあの時代、箱庭モラトリアムのちょっぴり不思議な青春ミステリーです。