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    • 2012/3/4 13:55
    • タフの方舟/ジョージ・R・R・マーティン
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    •  付近の惑星に災厄を齎す謎の天体〈禍つ星〉。そこに赴けば、誰もが巨万の富と絶対的な権力を手にできるという。銀河一あこぎな宇宙商人ハヴィランド・タフは、〈禍つ星〉の秘密を追う学者に雇われ、サイバー技術者、用心棒ら、いずれ劣らぬ曲者たちと現地へ向かう。しかしそこで彼らを待ち受けていたのは、かつてオールドアースの連邦帝国が建造した生物戦争用超巨大胚種船〈方舟〉号であった!

      どうですか粗筋からしてワクテカがとまらないこの字面! 嗅覚の鋭いSF好きならばハイペリオン臭を嗅ぎ取るであろう本作ですが、さもありなん。マーティンとダン・シモンズは共に、アメリカSFの名匠ジャック・ヴァンスの熱狂的崇拝者で、その強い影響下で自身の作風を確立させたと言っても過言ではなく、作品の雰囲気がどことなく似通ってしまうのは無理らしからぬこと。

      具体的にヴァンスの何を受け継いでいるのかと言うと、恐らく『色彩豊かな異星文明をテーマ(舞台)としたダークファンタジー仕立ての奇想SF』というスタンスでしょう。固有名詞や造語を頻繁に織り込ませる文体で描写に個性と深みを与える手法も、正しく彼へのリスペクト。胚種船の着想はヴァンスの『保護色』から得たのではと愚考します。

      本作は、扱い方次第で星を滅ぼすことも救うことも可能な〈方舟〉号の主となったタフが、宇宙の様々な星系を股に掛け、胚種船のオーバーテクノロジーを駆使して惑星の生態改造に臨む物語を描いた、二巻構成の連作短篇集です。

      エンターテイメント性の高さもさることながらキャラクターも魅力的。禿頭・無表情・太鼓腹・慇懃無礼・猫バカ……いっそ清々しいほどヒロイックのヒの字もないタフの人物像が、読めば読むほど癖になります。〈方舟〉号を巡って醜い争いが繰り広げられる最中、一人だけ猫のクローニングに勤しむタフの立ち回りが実に面白い。

      科学ディテールには重きを置いていないのですが、SFとして決して劣っている訳ではありません。 最終章『天の果実』で、惑星ス=ウスラムの民を無秩序な人口増加と食糧難から解き放つべくタフが採った選択とその意義こそ本作の畢竟。究極的な科学技術を手にした一人の人間は、果たして万物の命を弄ぶ神足りうるのか――。この息をつかせぬ倫理と葛藤のドラマが、サイエンスフィクションでなくて一体何だというんです!(`・ω・´)

      書店でタイトルを見かけましたら是非御一読の程をば。

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