★黒うさぎ☆さんとモバ友になろう!
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- 2008/12/25 23:20
- 僕のアリス
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- 「…さあ行こう」
僕はアリスを肩の上に抱き上げた。
「え…い、行くってどこへ?」
アリスは僕の頭にしがみつくものの、抵抗はしない。
微塵も僕を疑っていないのだろう。
その無防備さがおかしくて、愛しい。
「いいところだよ」
「でも…シロウサギを追いかけないと」
「シロウサギのことは放っておきなさい」
肩の上から、戸惑った空気が伝わってくる。
アリスは首を傾げるようにして、僕の顔をのぞきこんだ。
「…そういうふうに私に指図するのは初めてね?」
「そうかい?」
僕は微笑む。
――それはそうだよ、アリス。
僕らには、アリスの意思を超えることなどできないはずだったのだから。
だがこの世界の天理は崩れ、僕らの鎖は切れてしまった。
そうでなければ僕は、永遠にきみの忠実な猫であり続けただろう。
…まあ、それも悪くなかったんだけどね。
「シロウサギのことは忘れなさい」
僕は繰り返した。
「でも…」
根が真面目なアリスはバラの門を振り返る。
「もう何も悪いことは起きない。だからウサギのことは忘れなさい。いいね?」
「何も…起きない?」
「起きないよ。…アリスは僕を信じているんだろう?」
肩に乗せているので僕がアリスを見上げる形になる。
「信じてるわ」
- 「…さあ行こう」