青妃さんとモバ友になろう!
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- 2010/5/19 9:52
- 墓
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- ―――おまえは思い出せるか?
憶えて、いるのか?
先生。
実は俺も貴方の顔を思い出せないのです。
否、思い出してはいけない気がするのです。
優しい手も、あたたかな声も、好んだ季節も、授けられた教えも
すべてを昨日のことのように思い出せるのに
その表情だけを見ることが出来ないのです。
戦場を去る銀色は、
“血を流しすぎた”と泣いていました。
先生。
俺もあいつも…そして奴も。
道を違えてしまいました。
顔を思い出せるわけがないのです。
あの夕暮れに、あの桜舞う木の下に、あの匂いに、戻れたら。
先生。
……俺とて、憎くないわけではないのです。
でも、貴方が愛し、彼らが生きる世界だから。
救われるわけもなく、正したいわけでもない。
償いなどと善人ぶる気もない。
それでも、彼らともう一度笑い酒を酌み交わす日を願っても、貴方のことを思う日を望んでも…よいですか?
先生。今日はこれで。
……愛しい、護りたいという感情は厄介なものですね。
先生も俺たちには手を焼いたのでしょう。
また、来ます。
- ―――おまえは思い出せるか?