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- 2013/4/10 2:25
- 狩りとも、プレイ中!
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- アリシアはうつむき、涙が一つ、二つと溢れ落ちた。
「そんな…そんな、私がお父さんとお母さんの子供でないって…たった、たったそれだけでお父さんとお母さんが…」
アリシアは、ようやく声を絞り出した。涙を拭き顔を上げる。
「大丈夫です。私は知らなければいけませんよね」
「アリシアちゃん、君は強い子だねぇ…」
カメが呟いた。一息おいて、言葉を続ける。
「ただ…それだけ、と思わない輩がいるんだ。…さっき、さる貴族の書面って言ったよね。その貴族ってのが問題なんだよ。…ギルザ=ファバード公爵…いや、俺は知らなかったんだけど」
カメは苦笑した。
「ギルザ公爵が問題じゃないんだ。ファバード家ってのが問題なんだ」
アリシアはファバードの名を聞いた事があった。亡き父がアリシアが幼い時に話した事があった。遠い記憶をさかのぼり、亡き父の言葉を思い出す。
「ファバード家…聞いた事が有ります。前々国王様の妹姫が嫁いだ家で、今は確か…」
父の面影を思いだし涙が溢れ、言葉につまる。
「すみません…」
カメが焚き火の野営鍋の蓋を開けた。水はすでに沸騰していた。
「…珈琲と紅茶、どちらが良いかな?残念ながら砂糖もミルクも無いけど…」
アリシアは手で涙を拭った。
「砂糖無いんですか?残念です…紅茶…お願いしてよろしいですか?」
アリシアは無理に笑顔を作った。自分の為に危険をおかしている2人の為にも、いつまでも泣いているわけにはいけないと思ったからだった。
「そっか…俺もルシアンナも使わないんでね…俺は珈琲をいただくよ」
カメは手早く紅茶と珈琲をたてた。良い薫りが漂う。
アリシアは紅茶を入れたカップを受け取った。
一口。
一段と良い薫りに包まれ、心が落ち着き始める。
「…美味しい…」
カメが珈琲を片手に口を開いた。
「それは良かった。俺は珈琲ばかりだから、上手く入れる自信無かったんだけど…話を続けようか」
アリシアは両手でカップを持ち頷いた。
カメも珈琲を飲みながら話し始めた。
「ギルザの一人息子カイザは結婚する前に戦死していてね、そしてギルザも後を追うように死亡したんだ。そのため、ファバード家の領地は現在、国領になっている…それでね、ファバード家の領地で良く採れるモノがあるんだ。それが…」
カメが懐から何かを取り出し、アリシアに見せる。
「…金貨?」
アリシアは尋ねた。
- アリシアはうつむき、涙が一つ、二つと溢れ落ちた。