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    • 2015/10/29 3:46
    • MCN*秋雨の夜 ②*
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    • 行き先は普段買い物に出ている街からさらに外れた郊外にある古い雑貨店だった。
      お世辞にも繁盛しているようにはとても見えないその店で、渡されたメモの通りに買い物を済ませさぁ帰ろうかという時にはすでに空には分厚く湿気を含んだ灰色の雲が重く覆いかぶさっていた。
      案の定というべきか店を出て数分もしないうちに激しい土砂降りに見舞われ、傘を持ってこなかった自分たちを呪いながら逃げるように最寄りのバス停へ転がり込んだのだった。

      「ていうか永雛もそのストール濡れてるでしょ。貸して、一緒に乾かすから。」

      「ん、あぁ、ありがとう。」

      肩にかけていたストールをはずし、投げ渡す。
      ずぶ濡れというほどではないが、しっとりと水気を纏ったそれは夜風にさらされてひんやりと冷えきっていた。

      恋鞠は投げ渡されたストールと自らの帽子を並べてベンチの背もたれにかけ、おもむろに手を翳す。
      ぼうっと小さな音が聞こえたかと思えば、何もない空間にゆらゆらと揺らめく炎が現れた。
      薄暗い空間に橙色の暖かな灯りがじわりと溶けるように広がっていく。そしてその炎はそのまま宙でふよふよと漂っていた。
      決して手品などではない。当の本人はさも当然のようにやってのけ、再び隣に腰を下ろした。

      「ていうか、さっきからだいぶ時間経ってるように思うんだけど次のバスいつ来んの?」

      ぐーっと伸びをし眠たげに目を細めた恋鞠は、明らかに暇疲れの待ち疲れの様子だ。

      「それなんだが、」

      バス停の時刻表を指でなぞっていた永雛が表情を変えずに恋鞠のほうを振り向いた。



      「どうも、1時間前に最終便が出てしまっているようだ。だから今日はもうバスは来ない。」

      しんと静まった空間に、激しい雨の音が殊更大きく響いた。

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