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    • 2015/10/29 3:45
    • MCN*秋雨の夜 ①*
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    • 「さて、どうしたものか。」

      いつもと変わらない、平坦な声色で淡々と告げられたその言葉に、鬱屈した気分のままではただただ深いため息を落とすことしかできなかった。


      そろそろ半袖で出歩くにはいくらか肌寒くなるようになり、秋の気配も身近に感じ始めた。
      夜には虫の鳴き声があちこちで反響し、涼しげな夜風を浴びながら秋の夜長を楽しむのもいいものだ。
      ――――――本来ならば、だが。

      「………あのさ、その台詞何回目?」

      風流という言葉とは似ても似つかないほどげんなりとした声が耳に届く。
      右隣からかけられたその声色は、数刻前よりいくらか低くなっているようにも思えた。

      「そうだな、数分前から数えておよそ5回目くらいだろうか。」

      「だったらもう少し打開策を考えようとか思わないわけ?」

      明らかに苛立ちを含んだ物言いに、再び深いため息が重ねられた。

      「私もそうしたいのは山々だが、これといって名案が浮かばない。」

      「あーもう!どーすんのホントに!」

      ほとんどヤケに近い叫びを上げたかと思えば、そのままずっと被っていた帽子をこれまた荒々しくむしり取りベンチの脇へ勢いよく投げ捨てた。

      「…その帽子、ずぶ濡れじゃないのか?そのままでは生地がいたんでしまうぞ、恋鞠殿。」

      「だから今から乾かすっつってんでしょ。」

      そう吐き捨てるように言うと、恋鞠はおもむろに髪を掻き乱し、髪についた雫を払い落とした。
      乱れた髪の間から獣の耳がひょこんと立つ。ひょこひょこと動くそれは決して作り物の類などではない。

      恋鞠と永雛がこの日二人で出掛けたのはあくまでも偶然だった。
      自分達の現主人からの直々のお達し…いや、ざっくり言うならばお使いだ。
      普段から家事一般を進んでやっている永雛はもちろん一番に名乗り出たのだが、距離と荷物的に一人では大変だろうということで半ば無理やりに恋鞠が駆り出された。
      ちょうど暇を持て余していたのでなんとなく承諾したのだが、今思えば辞めておくべきだったと心で舌打ちをする。

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