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- 2011/10/7 6:08
- いくら勉強しても上手くならない人もいる。
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- 夏の頃に、横浜の神奈川近代文学館で開催されていた『漱石と文人たちの書画』展。
そこにある武者小路実篤の絵をなにかの映像媒体で見た。
団扇を手に浴衣の女性が縁側で涼んでいる。
涼味が伝わってくる図柄だが、表情も姿もなんかモッサリしていて、見ているとかえって暑苦しい。
→お世辞にも上手とは言えない。
無論、自身も出来ばえには満足していなかったようで、
《失敗の作なり もう百遍も描けばいくらかものになるべし》
と添え書きがある。
努力の人の面目躍如たる一文だが、遂に上達しなかったらしい。
だから好きだと実篤の絵を愛したのは山口瞳さんである。
「私にとって“勉強すれば上達する”という事よりも、“いくら勉強しても上手にならない人もいる”という事の方が遥かに勇気を与えてくれる」と…
ヤラセメールだかなんだか、世間を騙す事に血道を上げる電力会社があったり、官尊民卑の政党政治の首相がいたり、「愚直」が服を着たような作家が懐かしく偲ばれるのも時世ゆえに違いないような気がする。
実篤には
《騒ぐものは騒げ、俺は青空》
という詩もあった。
人の心の青空がひときわ恋しい秋の空です。
- 夏の頃に、横浜の神奈川近代文学館で開催されていた『漱石と文人たちの書画』展。